豊岡鞄の製造企業 （株）木和田正昭商店が生産し、東京のバッグブランドとダブルネームとして発売している「YOUTA」シリーズは、性別・年齢を問わず高い支持を得ている。前面に編み込まれたイントレチャートが、デザインのアクセント。ダレスバッグが持つ古く堅いイメージが緩和され、カジュアルかつモダンなイメージを演出している。また、本体素材がPVCであることが特徴。オールレザーで作るとリッチな鞄に仕上げる事ができるが、鞄自体が重くなり価格も高価になってしまう。気軽に使えるよう、軽くて丈夫で使いやすく、お手入れもしやすい素材を選び抜き、手頃な価格帯でも高品質のダレスバッグであることにこだわっているのである。

高度に仕上げられたリザード柄のシボは、本物のリザードレザーと見間違えるほど。PVCとはいえ高級感を損なわない存在感を備えている。機能面においては、ビジネスシーンで必須の書類やPC収納は勿論対応。手触りが良く丈夫なケヤキのハンドルは、見た目の美しさに加えて手にかかる負担を軽減するよう考えられている。荷物が多い時はショルダーベルトを取り付けてリュックとして使用できる。ビジネスシーンに加えて、通学やファッションバッグとしても幅広くおすすめできるダレスバッグである。

ARTPHEREは、2006年に豊岡で誕生したブランドである。2009年に、ブランドの代表的製品である「New Dulles（ニューダレス）」が生まれた。アーチ状の立体縫製・3Dデザインを駆使した斬新な流線型フォルムはスマートで革新的。ドイツのiFデザイン賞（デザイン界のオスカー賞と呼ばれる権威ある賞）を受賞し、累計販売数は10,000本（ARTPHERE公式サイトより）を超えている。また、特筆すべき点として、薄くても強度の高いアルミフレームでNew Dullesの軽量化に成功。のちのARTPHEREブランドのダレスバッグにも流用されている。

2016年、本体素材にホースレザーを用いたダレスバッグシリーズ「Cavallo（カバロ）」が登場。しなやかでシワや傷など個体の特徴がある革を本体素材に、特徴的なフロントのドイツホックや、細かなパーツまで拘った。このホースレザーモデルは、惜しまれつつ2022年に生産を終了したが、代わって「Cavallo for the Blue」を新たに展開する。この後継モデルは、北海道で廃棄される漁網素材を糸に再加工された「漁網再生ナイロン」を外装に使用。一見して重厚感、存在感あるダレスバッグのラインナップだが、本体のさらなる軽量化が図られ、付属素材も軽量で耐久性が高く環境にも配慮された合成皮革を使用するなど、性能を高めるため細部まで徹底されている。新しい時代にアジャストした鞄作りで、豊岡のダレスバッグをまた一歩進化させる。

三宅初治商店は1967年創業。多く受注したトレンケース（化粧品を収める取っ手が付いた箱）の生産で身に付けた糊塗りの技術を応用し、1980年代からビジネスタイプの口枠式鞄で、大きく開口するダレスバッグ「大割れダレス」の生産を始める。2014年、当店Artisanが誕生した年に、アルミ手大割れダレスが豊岡鞄の認定を取得。OEMではなく自社製品として本格的な生産が始まった。近年、その古き良きデザインと実用性に注目され、当SHOPでは常に人気商品として幅広い年齢層から支持を得ている。また、ミニサイズのポーチタイプは、特徴的な四角くハンドルが付いたデザインがレディースバッグに無かった新しさを備え、ショルダー持ちで女性に人気が高まっている。

当ページで紹介する他のダレスバッグとの大きな違いは、口枠が底面近くまで大きい構造で、鞄全体がフレームで構成されている。そのため正確な糊貼り作業が非常に重要になっている。その縫製もピッタリとシワなく仕上げる技術が必要な鞄である。立体となったときの平面や直線の美しさは、容易に真似できない技。大割れダレスを、1つ1つ手間暇かけて丁寧に生産できる製造企業は、生産量国内トップクラスの鞄の街・豊岡でも極めて少ない。同社の2代目で、自ら製造にも携わる職人・三宅秀明が手掛ける渾身の鞄を使っていただきたい。

マスミ鞄嚢は1916（大正5）年創業。柳行李からファイバーに移り変わってゆく、今日の「鞄」の創成期から１００年以上鞄を作り続けている。ハンドル付の口枠鞄が「ダレスバッグ」という呼び名が付き日本で流行となったのは第二次世界大戦後のこと。マスミ鞄嚢では、昭和３０年代に革のダレスボストンバッグを生産していた。当時は芯材が厚く革が薄い仕様が主流で少々重量感があったが、復刻版として改良された型が、当店で取り扱う「ダレスボストン」で、現代の用途に合わせて小型化された型が「ダレスボストンS」である。

復刻にあたり芯材は極力薄くする一方、革は厚みのあるヌメ革を使用し、0番という太いナイロン糸で縫い上げ耐久性を高めている。口金の両端付近は厚みを丁寧に漉き、綺麗な円形にへこむよう職人の腕によって仕上げが施されている。錠前、手カン、底鋲などは、真鍮鋳物で復刻。使い込むことで革に風合いが出てくるころ、真鍮の重厚感もまた歴史を物語る。

時代の変化や流行と共に新素材の鞄が次々と登場し、鞄の形態も変わっていく。古い時代は道具や技術、素材も不足する中、職人たちは知恵を絞り良い製品を生み出してきた。クラシックモデルの復刻は、製造過程で先人の技を垣間見る事ができるという。そこにさらなる新しい技術を加え、まさに「古くて新しい」最高のダレスバッグを作り続け、継承していく。これがマスミ鞄嚢のダレスバッグである。

「parcel」は、ブランド「Atelier nuu」を代表するシリーズである。
Atelier nuuは、2008年に豊岡にオープンした工房を備えたショップ。豊岡の鞄製造業としてトップクラスの規模を誇る株式会社由利が、オリジナル製品を展開するために立ち上げたショップでありブランドでもある。「nuu」という名前には、鞄を「縫う」と、“新しい“という意味の「new」の二つの意味が込められている。
豊岡は現在もそうだが、生産される鞄の殆どがOEMである。「Atelier nuuの特徴は、店舗の販売スタッフが商品を提案し開発に関わっていること。つまり、お客様と接しているスタッフが、鞄のユーザーであるお客様の声をフィードバックして、新しい商品が完成されている。これが人気の強みである。

2017年、女性をターゲットにしたダレスバッグが誕生。ドクターズバッグ特有のふっくらした丸みのあるテイストをそのままに、ショルダーバッグとして女性が持てるデザインのダレスバッグに仕上げた「Parcel ミニダレス」。これが大ヒットを生む。「Parcelダレスリュック（生産終了）」は当時としては画期的なリュックスタイルのダレスを、カジュアルなレディースバッグとして確立させた。ダレス・口枠=重いという感覚的な常識を覆し、フレームを極力軽量にし無駄な金具を使用せず、革も厚みを工夫。革はナチュラル感のある国産シュリンクレザーを使用し、染料仕上げの自然な風合いを特徴とした。
「parcel」は、ダレスバッグを女性が使いやすい形・デザインとして進化させた。

（※parcel シリーズの展開カラーは随時新しくなってまいります。掲載画像はイメージとしてご覧ください。）