(2022年5月30日 第6回)
このブログは、
Toyooka KABAN Artisan Atelier が企画した豊岡鞄認定製品の
オリジナル レザーバッグ「Hamoni ショルダーバッグ Waltz」の
企画から生産に至るまでのエピソードをまとめています。
商品の詳細は、こちらのページをご覧ください。(Artisan 豊岡鞄公式オンラインストア)
前回はこちら 第5回 素敵な名前のヒミツ。
次回はこちら 第7回 2つのポイント。
いつも当店をご利用いただきまして誠にありがとうございます。
ただいま当店では、オリジナルバッグの企画に取り組んでおります!
ストーリーとして、ブログを随時更新しますので、
鞄が出来上がるまでのエピソードをお楽しみいただければ嬉しいです。
現在生産中です。詳細が決まりましたら当ブログでお知らせします。
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みなさまこんにちは。
今回は私、SHOPスタッフ「H」が、このブログを担当いたします。
これまで当ブログでは、
製作の過程やブランドへの想いを記しております。
バックナンバーも是非ご覧ください。
我々が本企画で目指している商品は
「シンプル」な「オールレザー」のショルダーバッグです。
今回はそのレザーについてのお話を。
鞄には実に多くの種類が存在します。
そしてその鞄には多様な素材が使用されています。
私はエイジングで風合いの出る革や、
アクティブに使用できるナイロン系の素材が好きで
所持しているものもそれらで凡そ半々くらいかと思います。
皆様がお持ちの鞄の素材は何で出来ていますでしょうか?
この度の企画でスタッフ皆が抱いている
「オールレザーの鞄が欲しい」ということについて。
これは
「オールレザーの鞄が少ない」という
我々自身が少なからず抱いていた印象
そしてお客様からお寄せいただく同様のご意見が
ごく自然に合致した結果と言えるかと思います。
このようなご意見を日々頂戴していた折に
本企画が立ち上がったことから
スタッフそれぞれの「欲しい鞄」の方向性において、
レザーがいいという点では早い段階で一致していたのが印象的です。
当店へご来店いただくお客様方とのお話の中で
「豊岡といえば革が有名」と仰せの方もいらっしゃるのですが、
豊岡には現在のところ、革を専門に扱う企業である
所謂、「タンナー」が存在しません。
オールレザーのバッグを作りたい我々としては
タンナーさんは非常に重要な、欠かすことのできない存在です。
そこで私たちは同じ兵庫県内のタンナーであり
本企画の重要なパートナーとなる
株式会社 山陽さんに経緯をお伝えし
同社開催の革の展示会に参加する機会を頂きました。
この展示会でオリジナル商品に使用する革を探し出すこととなり
これが素材選びにおける最初の課題となりました。
膨大な数の革で埋め尽くされた会場で
どんな革が必要なのかという判断をしていきます。
目が眩むほどに並ぶ多彩な革を一つ一つ手に取りながら
理想とする形に近い革を想像し、じっくりと探す過程。
とても贅沢な時間だったと、今改めて感じています。
(写真はほんの一部です。)
第一弾として我々は「ジャベリン」という革を選定。
表面の光沢が鮮やかで、撥水性もあるというものでした。
キズや雨への耐性がある革であったり
高級感のある革を求めていたこともあり、
ほぼ理想に近い状態でサンプルも仕上がってきました。
カラー展開は
ライトブラウン、オリーブ、ダークブラウンの3色です。
私は私物でもグリーンのものを所持する事が多いので
グリーン系の色が採用されたことに、喜びもひとしおでした。
その後、よりそれぞれのお声や各自の意見に近づけるため
革のツヤ感を抑えてマットな仕上げにすることや
ロットによるブレや革の個性が極端に出にくいように
革の仕様変更を行いました。
既存の革で気掛かりとなった修正点は
別の革への変更で改善を図ることとなりました。
これにより、革はジャベリンを取り止め
この企画用の完全オリジナルレザーとして
再スタートを切ることとなります。
新しいレザーはカラーをそのままに、
前述の仕様変更を経てぐっと理想に近づいてくれました。
そこからは微細なカラーリングの修正を経て
実際に使用される際の厚みを考慮した仕様として
最終調整となりました。
我々が辿り着いたレザーは
極端に発生してしまうブレや個性を出にくくすること
擦れや雨などに対するケアの手間が少なく済むこと
比較的落ち着いた色合いを求めたこと
など、大事にしてきたポイントはいくつかあります。
お客様、メーカーさん、お店と、
産地の現場で集約されたそれぞれの「こうだったらいいな」が
ここに反映されています。
多くの人の声から生まれたこの鞄から
より多くの喜びが生まれることを願っています。
アルチザン店頭ではサンプルを展示していますので
この色を、質感を、ぜひ体感してください。
今後も更新は続きます。
楽しみに、お待ちいただけると嬉しいです。